シルヴァーノ・アゴスティ フィルモグラフィー

2008年から大阪ドーナッツクラブで字幕を制作し、少しずつ公開を進めています。 2011年5月時点での公開作品は下記の6作品です。そのほか、アゴスティ監督についてのドキュメンタリー1本を公開しています。

『快楽の園』『クワルティエーレ 愛の渦』『カーネーションの卵』(2009年10月 日本初公開)
『人間大砲』『天の高みへ』(2010年2月 日本初公開)
『ふたつめの影』(2011年4月 日本初公開)
監督についてのドキュメンタリー『シルヴァーノ・アゴスティ 見えないものを見る人』(2010年2月 日本初公開)

大阪ドーナッツクラブが配給しているもの以外では、マルコ・ベッロッキオ監督(Marco Bellocchio)が1965年に制作した『ポケットの中の握り拳』(I pugni in tasca)が日本公開されています。 日本での未公開作品については、いわゆるオフィシャルな邦題がありません。ここで表記しているものは、あくまで原題を直訳(ときには意訳)したものになります。

また、ドーナッツ・メンバーもそのすべてを鑑賞しているわけではありませんので、安易な訳が作品のイメージに悪影響を及ぼす危険性があると判断した場合には、あえて訳さずに読み方をカタカナ表記しています。作品の形式や内容については正確な情報が集められたもののみ提示しています。掲載内容に誤りがあった場合や新たな情報を入手した場合には、その都度このフィルモグラフィーに反映していきます。事情をご理解の上、ご了承ください。
 
<作成:ポンデ雅夫>
 
製作年

原題 / 日本語タイトル

仕様 / 解説

1960

Il matrimonio di Vivina

『ヴィヴィーナの結婚』

監督・原案・脚本・撮影・プロデュース・編集。
16mm、モノクロ、14分。

1960

Requiem

『レクイエム』

監督・原案・脚本・撮影・編集。
35mm、モノクロ、12分。

1961

Bolle

『泡』

監督・原案・脚本・プロデュース・編集。
16mm、モノクロ、40分。ドキュメンタリー

1962

La veglia

『徹夜』

監督・原案・脚本・編集。
35mm、モノクロ(パートカラー)、40分。

国立映画実験センター監督コース卒業制作。
宗教的にスキャンダラスな内容だったために教師陣からは眉をひそめられたが、映画自体の質が非常に高く、校長の一声によって最優秀作品賞を受賞。

1963

Grazie zia

『ありがとう、叔母さん』

サルヴァトーレ・サンペリ(Salvatore Samperi)監督作品。35mm、モノクロ、95分。
アレッサンドロ・ジゼッリ(Alessandro Giselli)という偽名で編集を担当。

1964

Il gioco dei grandi

『大人の遊び』

監督・編集。

1965

Violino

『ヴァイオリン』

監督・原案・脚本・編集・音響。
35mm、カラー、11分。ドキュメンタリー。

撮影はジュゼッペ・ランチ(Giuseppe Lanci)。ナンニ・モレッティ(Nanni Moretti)、タヴィアーニ兄弟(Paolo & Vittorio Taviani)、ロベルト・ベニーニ(Roberto Benigni)、アンドレイ・タルコフスキー(Andrej Tarkovskij)といった大物たちを支える(支えた)素晴らしい撮影監督である。

1965

I pugni in tasca

『ポケットの中の握り拳』

編集・脚本協力。
(アウレーリオ・マンジャロッティという偽名がクレジットされている)
映画実験センターの同級生、マルコ・ベッロッキオ監督作品。

日本では1983年に劇場公開。
ロカルノ映画祭最優秀監督賞受賞作品。

1965

S. 65

監督・編集。
ドキュメンタリー。

1967

Il giardino delle delizie

『快楽の園』

監督・脚本・編集。
35mm、モノクロ、96分。
音楽はエンニオ・モリコーネ(Ennio Morricone)が担当。

イタリアでは検閲を受け、一般公開には合計28分ものシーンをカットするという条件が付く。フランスでも公開。
モントリオール映画祭に出品され、ジャン・ルノワールジョン・フォードフリッツ・ラングドゥシャン・マカヴェイエフといった映画作家の作品と並んで年間優秀映画ベスト10に選ばれる。
ペーザロ映画祭観客賞受賞。

1968

Cinegiornali del movimento studentesco

『学生運動のニュース映画』

監督・撮影・編集・音声。
16mm、モノクロ、120分。ドキュメンタリー。
音楽はニコラ・ピオヴァーニ(Nicola Piovani)。

1968

Lotte di strada del '68

『68年、路上の闘争』

監督・撮影・編集・音声。
ドキュメンタリー。

1971

N.P. il segreto

『N.P 機密』

監督・原案・脚本・編集・音響。
35mm、カラー、92分。

音楽は日本でも人気の高いニコラ・ピオヴァーニ(Nicola Piovani)。
ヴェネツィア映画祭出品、バルセロナ映画祭最優秀作品賞。

1971

Nel nome del padre

『父の名の下に』

マルコ・ベッロッキオ監督作品。35mm、カラー、109分。
編集を担当。

1973

Scersceld

『シェルシェルド』

スウェーデン人監督ミヒャエル・メシュケ(Michael Meschke)と共同で監督・脚本。

1973

Altri seguiranno

『他の皆もついてくるだろう』

監督・原案・撮影・編集・プロデュース。
16mm、モノクロ、45分。

ギリシャの詩人・政治家であるアレクサンドロス・パナグリス(Alessandro Panagulis)へのインタビュー作品。

1974

La strage di Brescia

『ブレーシャの悲劇』

監督・撮影・編集・音響・プロデュース。
16mm、モノクロ、16分。ドキュメンタリー。

1975

Festa della Repubblica

『共和国祭』

監督・撮影・編集・音響。
ドキュメンタリー。

1975

Matti da slegare

『キチガイに自由を』

監督・編集。
16mm/35mm、モノクロ、100分。

マルコ・ベッロッキオ(Marco Bellocchio)、サンドロ・ペトラリア(Sandro Petraglia)、ステーファノ・ルッリ(Stefano Rulli)と共同監督。
ベルリン映画祭審査員特別賞、同映画祭国際カトリック協会賞、ニヨン映画祭観客賞、ロッテルダム映画祭観客特別賞、イタリア文化省優秀作品賞。

1976

Nel più alto dei cieli

『天の高みへ』

監督・原案・脚本・編集。
35mm、カラー、92分。

脚本はステファノ・ルッリと共同執筆。音楽はニコラ・ピオヴァーニ。
ローマ法王に謁見を賜るためにヴァチカンを訪れた人たちが巨大なエレベーターに閉じ込められる。外部との連絡が取れない密室の中で、それぞれが人間の本性を表し始める…。長廻しを多用する計算されたカメラワークがすばらしい。
ヴェネツィア映画祭出品。

1977

Il gabbiano

『かもめ』

編集。
マルコ・ベッロッキオ監督作品。35mm、カラー、132分。

1977

Runaway America

『ラナウェイ・アメリカ』

監督・編集。
35mm、カラー。
ピーター・アモス(Peter Amos)と共同監督。アメリカ制作。

1978

Forza Italia

『イタリアがんばれ』

編集。
リーノ・デル・フラ(Lino Del Frà)監督作品。35mm、カラー。

1979

La macchina cinema

『映画という機械』

監督・編集。ドキュメンタリー。
マルコ・ベッロッキオ、サンドロ・ペトラリア、ステーファノ・ルッリとの共同監督。
フィプレーシ賞(Premio Fipresci)受賞。

1980

Il buffone di Dio

『神の道化師』

監督・編集。

オショウやバグワンと呼ばれるインドの神秘家へのインタビュー。

1981

Un incontro

『出会い』

監督・編集。

インドの首相インディラー・ガーンディーへのインタビュー。
彼女は84年に暗殺された。
アゴスティの小説 『誰もが幸せになる1日3時間しか働かない国』(マガジンハウス、2008年、Lettere dalla Kirghisia)に彼女についての記述がある。

1982

Il pianeta azzurro

『青い惑星』

プロデュース・編集。
フランコ・ピアヴォーリ(Franco Piavoli)監督作品。35mm、カラー、90分。

同年のヴェネツィア映画祭でユネスコ賞や銀リボン(ナストロ・ダルジェント、Nastro d'argento)新人監督賞をはじめとする複数の賞を獲得。
1984年アカデミー賞ドキュメンタリー部門ノミネート。
作品を観たベルナルド・ベルトルッチ(Bernardo Bertolucci)、アンドレイ・タルコフスキーエルマンノ・オルミ(Ermanno Olmi)といった名匠が賛辞の声を寄せる。北イタリアの農村を舞台にした一種のドキュメンタリーだが、一切のセリフを排し、自然の映像と音のみで一日の時間の経過と四季を同時に表現する独創的な編集法を採用している。

1983

D'amore si vive

『愛に生きる』

監督・撮影・編集。
35mm、カラー、95分。

母親、少年、同性愛者、売春婦などへのインタビュー作品。
やさしさと性欲と愛。人間の愛情をつかさどる三つのテーマが柱になっている。一年以上の時間をかけて膨大な人数へのインタビューがパルマ(Parma)周 辺で収録された。これらの映像は本来はテレビ用だったが、この映画のために7人の会話が選ばれ、再編集された。アゴスティと親交の深かった小説家アルベルト・モラヴィア(Alberto Moravia)の絶賛を受ける。YouTubeで映像の一部(9歳の男の子のインタビュー)を観ることができます。こちらからどうぞ。

1984

L'addio a Enrico Berlinguer

『ベルリンゲル、さようなら』

監督・編集。96分。

イタリア共産党書記長であったエンリーコ・ベルリンゲルの葬儀を記録したドキュメンタリー。驚くほど多くの監督が共同監督という形で関わった作品である。エットレ・スコラ、カルロ・リッツァーニ(Carlo Lizzani)、ベルナルド・ベルトルッチ(Bernardo Bertolucci)、ロベルト・ベニーニ(Roberto Benigni)、ジッロ・ポンテコルヴォ(Gillo Pontecorvo)、パオロ・ピエトランジェリ(Paolo Pietranglei)、ジュゼッペ・フェッラーラ(Giuseppe Ferrara)他6人。

1987

Quartiere

『クワルティエーレ 愛の渦』

監督・原案・脚本・撮影・編集。
35mm、カラー、81分。
音楽はエンニオ・モリコーネが担当し、その叙情的なスコアは彼の代表作の一つに数えられており、コンサートでもしばしば演奏される。

クワルティエーレは「地区」という意味で、ローマのプラートという地区の四季を追いかけながら、4組のカップルのそれぞれに異なる愛の形を物語る。アメリカ公開時のタイトルは“Neighborhood”。

1988

Uova di garofano

『カーネーションの卵』

監督・脚本・撮影・編集。
35mm、カラー、120分。

ヴェネツィア映画祭、サン・セバスチャン映画祭出品。モスクワ映画祭最優秀作品賞。フランスでも公開。
ルー・カステル(Lou Castel、ヴィスコンティの 『山猫』やベッロッキオの『ポケットの中の握り拳』)、アラン・クニー(Alan Cuny、フェッリーニの『甘い生活』『サテリコン』やオルミの『キリストはエボリに止りぬ』)、パオラ・アゴスティ(Paola Agosti、スコラの『ラ・ファミリア』)といった名優たちを迎え、1943年から45年のイタリアを監督自身の自伝的逸話を詩的かつ史的に扱った作 品。
自作の同名小説の映画化。小説はセグラーテ市賞(Premio città di Segrate)を受賞している。現在のローマ市長ワルテル・ヴェルトローニ(Walter Veltroni)は、アゴスティの経営する映画館の常連客であるが、この作品はなかでも彼のお気に入りであり、映画評論家時代にポジティブな批評を残し ている。

1989

Prima del silenzio

『沈黙の前に』

監督・脚本・撮影・編集。
ヴィデオ、カラー、29分。

終身刑を言い渡された息子と彼に会いに行く母親の物語。
ピエル・パオロ・パゾリーニ(Pier Paolo Pasolini)へのオマージュ作品。

1992

Uova di garofano

『カーネーションの卵』(再編集版)

監督・原作・撮影・編集。
35mm、カラー。
イタリアでのテレビ放映用150分版と海外マーケット向けに短く再編集された90分版。
アメリカ公開時のタイトルは“Farewell Sweet War”。

1992

Bell'amore

『美しき愛』

監督・編集。ヴィデオ。

『愛に生きる』と同様のテーマについて考察したドキュメンタリー。
インタビューの対象を男性のみに絞っている。

1992

Frammenti di vite clandestine

『陽のあたらない生活の断片』

監督・編集。
13分。ドキュメンタリー。

過酷な境遇を生き抜く人々の記録と告発。

1993

Il leone di argilla

『粘土の獅子像』

監督・撮影・編集・音声。ヴィデオ。

ヴェネツィア映画祭の舞台裏を追いかけるドキュメンタリー。

1993

Il trionfo del vuoto

『空虚の勝利』

監督・編集。

ファシズム期の建築物の構造的な特徴を探るドキュメンタリー。

1994

L'ultimo uomo

『最後の男』

プロデュース。ロレンツォ・ネグリ(Lorenzo Negri)監督作品。カラー、15分。

冬眠し続けた宇宙飛行士とコンピュータの交流を描いたSF作品。

1995

L'uomo proiettile

『人間大砲』

監督・脚本・撮影・編集。
35mm、カラー、85分。
音楽はエンニオ・モリコーネが担当。

自作の同名小説を映画化。小説はストレーガ賞にノミネートされると共にとローマ市賞(Premio città di Roma)を受賞している。
サーカスで人間大砲の芸を披露する若者が主人公。同じサーカスの団員と恋をし、働くということは何かということについて思いをめぐらせる。フリッツ・ラングの『メトロポリス』などの映像を引用していて、映画そのものへのオマージュにもなっている。
ヴェネツィア映画祭出品。

1998

La seconda infanzia

『二度目の少年時代』

監督・撮影・編集・音声。

老人についてのドキュメンタリー。ヴェネツィア映画祭出品。

1998

Il volo

『飛行』

監督・撮影・編集。

知的障害者についてのドキュメンタリー。

1998

C'ero anch'io. Frammenti di lotte di strada.

『僕もそこにいた ~路上の闘争~』

監督・撮影・編集。
ヴィデオ、モノクロ/カラー、105分。
音楽はニコラ・ピオヴァーニが担当。

ロカルノ映画祭出品。

1998

Trent'anni di oblio

『忘却の30年』

監督・撮影・編集。
ヴィデオ、モノクロ/カラー、180分。
音楽はニコラ・ピオヴァーニが担当。

ロカルノ映画祭出品。

2000

La seconda ombra

『ふたつめの影』

監督・脚本・撮影・編集。
35mm、カラー、84分。
音楽はニコラ・ピオヴァーニが担当。

イタリア共和国大統領特別賞受賞。
ストックホルム映画祭出品。
イタリアのみならず世界の精神科医療に影響を与えた医師フランコ・バザーリア(Franco Basaglia)がゴリーツィア(Gorizia)の精神病院で実践した革新的な治療スタイルとその革命的な行動を、本人とも親交の深かったアゴスティが映画化。

2001

La ragion pura

『ラ・ラジョン・プーラ』

監督・脚本・撮影・編集。
35mm、カラー、83分。
音楽はエンニオ・モリコーネが担当。

ストレーガ賞にノミネートされた自作の同名小説を映画化。
67年に制作した『悦楽の園』で扱った結婚のテーマを掘り下げる。
結婚して15年間子供に恵まれず、関係も冷え切ってしまっているカップル。ある晩、夫は寝ている妻が無意識に自分の心境を吐露するのを聞く…。
日本でも有名かつ人気の高い俳優フランコ・ネロ(Franco Nero)が夫役を好演している。
アメリカ公開時のタイトルは“Sleeping Wife”。

2002

Dario Fo - Un ritratto

『ダリオ・フォー ~肖像~』

監督・撮影・編集。
ベータカム、カラー、58分。

ODCお宝アーティストの一人であるダリオ・フォーへのインタビュー。

2003

I mozartini

『小さなモーツァルトたち』

監督・編集。
ベータカム、カラー、32分。ドキュメンタリー。

イタリアが世界に誇る天才ヴァイオリニストで、日本でもリサイタル経験のあるウート・ウーギ(Uto Ughi)が世界各地の子どもたちにヴァイオリンを教える。
サレルノ映画祭共和国大統領特別賞受賞。

2003

Il canto

『カント』

監督・編集。

2005

HANS

『アンス』

出演。
ルイス・ネロ(Louis Nero)監督作品。35mm、カラー、97分。

フランコ・ネロがプロデュース、好演するサイコ・スリラー。

2005

La febbre

『熱』

出演。
アレッサンドロ・ダラートリ(Alessandro D'Alatri)監督作品。35mm、カラー、108分。

ODC一押しアーティストの一人であるファビオ・ヴォーロ(Fabio Volo)主演のコメディー。

2006

“Le quattro stagioni” narrate ed eseguite da Uto Ughi

『ヴィヴァルディの四季』

監督・編集。

ウート・ウーギの 魅力あるヴァイオリン演奏を堪能できる作品。アッシジ(Assisi)大聖堂で行われたウーギとローマ交響楽団によるヴィヴァルディ(Vivaldi)の 「四季」のコンサートを収録。オーケストラ・リハーサル、コンサート本編、ジョット(Giotto)のフレスコ画、『青い惑星』を再編集した映像の4部構 成となっている。


1 日本国内への配送に適用されます。その他の国についてはこちらをご参照ください
2 税抜価格
概要 | 配送/支払い条件 | プライバシーポリシー | サイトマップ
Kyoto Doughtnuts Club : Quasi tutti i diritti reservati